I hope Rey walks close with God

Written by Chisato. No reproduction or republication without written permission.

 レイは、アカデミーの頃から俺とかルナとかと違っていつも落ち着いていた。大人っぽかった。口を開けて笑わなかった。
 一方、は俺よりも三歳年上で、それ相応の落ち着きとかふるまいとかだったけど、よく笑ったし、いろいろな笑い方をした。
 俺とルナとレイで、はじめてミネルバに挨拶に来たとき、あなたたちが新しいパイロット? と言っては目をきらきらさせた。俺たちは三人で、はい、と声を合わせた。は、って呼んでね。これからよろしく! と、にかっと笑った。そして、戦艦でこんなことを言うのも変だけれど、楽しくやろうね、ときれいに微笑んだ。
 俺やルナ、ヴィーノ、ヨウラン、メイリンたちはすぐにになついた。レイと。この二人の組み合わせは珍しかった。でも、そうじゃなくなったのは、アスランが脱走してしばらく経ってからだ。
 ある日、俺がデスティニーを調整していると、レイとの会話が聞こえてきた。
「レイは神さまっていると思う?」
「いや、思わない」
 俺はキーボードに指を滑らせながら、レイならそう言うだろうなと思った。
「わたしも。いたとしても、すごく性格が悪いんだろうなあって考えてしまう」
「性格が悪い?」
 手が止まった。
「うん、たくさんの人たちが悲しんだり苦しんだりしているのに、ちっとも助けてくれないでしょう? コーディネーターとナチュラルの戦争は終わらないし、コーディネーターが生まれる前から争いはあったようだし、戦いを見るのを楽しんでいるように思える。……はい、チェック完了!」
 二人は格納庫から出ていくらしく、神さまについて話す声はだんだん小さくなって、消えた。
 マユは死んでしまった。父さんも母さんも、ステラも、ハイネも死んだ。レイだってもう生きていない。
 俺は神さまなんて偶像だと思う。でも、本当は、いたらいいなとも思う。が言った通り性格が悪くても、レイは頭がいいからうまく説得できるんじゃないかな。神さまは、きっと、さいごのさいごには助けてくれる。なあ、レイ、そうだろ?

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